耐震診断の義務化について
耐震診断の義務付け
1995年(平成7年)1月に起きた阪神淡路大震災では、建物の倒壊によりたくさんの命が奪われました。これをきっかけに同年 耐震改修促進法(建築物の耐震改修の促進に関する法律)が制定され、大勢の人が利用する一定規模以上の建物について耐震診断と改修を努力義務としました。
しかし、その後も日本各地で大きな地震が多発し特に2011年(平成23年)3月に起きた東日本大震災では、これまでの想定を遥かに超える巨大地震と津波により甚大な被害を受けました。
今までの地震被害を教訓にして、東日本大震災の翌々年である2013年(平成25年)には耐震改修促進法が改正され、大勢の人が利用する一定規模以上の建物について耐震診断の実施と結果の報告が義務付けられました。
耐震改修促進法の改正内容と、”大勢の人が利用する一定規模以上の建物”とは、一体どのような建物なのかを見ていきましょう。
2013年 耐震改修促進法の改正内容(義務化について)
2013年(平成25年)の耐震改修促進法の改正では、次の建築物の所有者に対して耐震診断を実施し、その診断結果を報告することを義務付けました。
また、所管行政庁がその結果を公表することとしています。
・要緊急安全確認大規模建築物
・病院・店舗・旅館など不特定多数の方が利用する建築物
・学校・老人ホームなどの避難弱者が利用する建築物のうち大規模なもの
診断結果の報告期限:2015年(平成27年)12月末日
・要安全確認計画記載建築物
・都道府県または市町村が指定する
・緊急輸送道路などの避難路の沿道建築物
(対象に建物に付随するブロック塀などが追加されました)
・庁舎・避難所などの防災拠点建築物
診断結果の報告期限:地方公共団体が定める日まで
緊急輸送道路につきましては、こちらの記事で図解入りで紹介しています。
耐震診断の結果報告は、該当する建物が所在する地方公共団体(都道府県または市区町村)に対して行います。
診断結果の公表について
- 建築物の名称
- 建築物の位置(地名地番)
- 建築物の主たる用途
- 耐震診断の方法の名称
- 構造耐力上主要な部分の地盤に対する安全性の評価の結果
- 耐震改修などの予定(内容、実施時期)
- 備考
などが地方公共団体のホームページ等で公表されます。
参考:大阪市「要緊急安全確認大規模建築物」耐震診断の結果の公表について
大阪市「要安全確認計画記載建築物」耐震診断の結果等の公表について
耐震診断の義務化を実施しない場合はどうなりますか?
義務化された建物を所有しているのですが、もし耐震診断を実施しない場合どうなりますか?
気になるところですよね。
所管行政庁は、耐震診断の実施が義務付けられている建物の所有者に対して、耐震診断の結果を報告することを命じることが出来ます。
この命令に違反・拒否したり、虚偽の報告をした場合は罰金の対象となります。また、一定の期間を経過あるいは指示をしても正当な理由なく耐震診断を実施しない場合には、公表の措置を講じられる場合があります。
耐震診断には、補助金や交付金が制定されている場合があります。詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
◆耐震マーク表示制度
耐震性が確保されている旨の認定を受けた建築物に「基準適合認定建築物マーク」を表示できる制度が創設されました。
このマークは、建物の所有者が所轄の行政庁に申請を行い認定を受けると表示ができる、任意の制度になります。そのため、この表示がない建築物であっても耐震性が確保されていないということではありませんので、ご注意ください。
認定を受けた建築物の所有者は、所定の様式にて掲示用のプレートを作成するか建築防災協会などの機関に作成を依頼することもできます。
なお、この制度は建築物の建築時期・規模・用途に関わらず全ての建築物が対象となりますので旧耐震基準・新耐震基準に関わらず耐震性が確保されている旨の認定を受けた建築物であれば表示が可能です。
申請方法などは、所轄の地方公共団体のホームページをご覧ください。
いかがだったでしょうか?耐震診断の実施と報告義務について疑問は解決されましたか?もし「うちのビルは耐震診断の義務化に該当するの?」とか「義務化に対応できていなかったみたいなんですが。。。」など心配なことがありましたら、どんな些細なことでも構いません。お気軽にお問い合わせください。
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