⚡ 災害時の「電力自立」を支える基盤構造:非常用発電機と燃料タンクの転倒を防ぐための耐震設計

大規模災害が発生した際、ビルの機能維持や工場の操業停止を防ぐ「最後の砦」となるのが非常用発電設備です。近年、BCP(事業継続計画)の観点から、多くの企業が72時間以上の自立運転を目指して大型の非常用発電機や大容量の燃料タンクを導入しています。 

しかし、どんなに高性能な発電機を導入しても、それを支える「足元」の構造が地震の揺れに耐えられなければ意味がありません。震災時、重さ数トンにおよぶ設備が転倒・移動し、配管が引きちぎられて「ただの巨大な鉄の塊」と化してしまった事例は少なくありません。本記事では、電力自立の要となる設備の耐震設計と、落とし穴となりやすい基盤構造の課題を解説します。 

 

「設備は無事でも動かない」という盲点 

地震後の調査で多く見られるのが、発電機本体に故障はないものの、周辺設備や基盤の損壊によって運転不能に陥るケースです。 

1. アンカーボルトの破断と引き抜き 

非常用発電機は、コンクリートの基礎に「アンカーボルト」で固定されています。地震時にはこのボルトに凄まじい「せん断力」と「引き抜き力」がかかります。 

  • 課題: 古い設計基準で設置された設備や、計算上の重量バランスが考慮されていない場合、ボルトが破断して発電機が数メートル移動し、接続されている電力ケーブルや燃料配管が切断されます。 

2. 基礎コンクリートの破壊 

発電機の振動を抑えるための基礎コンクリート自体が、地震の衝撃でひび割れたり、地盤の沈下によって傾いたりすることがあります。 

  • 課題: 基礎が強固であっても、その下の「床」や「地盤」の耐震性が不足していると、設備全体の安定性が失われます。 

 

燃料タンク(オイルタンク)に潜む「液面揺動」の脅威 

発電機を動かすための「燃料タンク」の耐震設計は、本体以上に複雑です。 

  • スロッシング現象(液面揺動): 地震の揺れがタンク内の液体の周期と共振すると、内部の燃料が激しく波打ち、タンクの天井や壁面に大きな衝撃圧を与えます。これにより、タンクの変形や破損、溢水が発生します。 
  • 重量変化への追従: 燃料タンクは「満タン時」と「空に近い時」で、地震時の挙動が大きく異なります。最悪の条件(満タン時)を想定した基盤設計がなされていないと、タンクが転倒し、危険物である燃料が流出する二次災害を招きます。 

 

「電力自立」を確実にする3つの耐震戦略 

単に「固定する」だけではなく、システム全体としてのレジリエンス(回復力)を高める設計が求められます。 

A. 建築設備耐震設計・施工指針の遵守 

日本の「建築設備耐震設計・施工指針」では、設備の重要度に応じて「地域係数」や「重要度係数」を用いた計算が求められます。非常用発電設備は通常、最も高い耐震クラスが要求されます。 

  • 技術的対策: 計算に基づいた適切な径と本数の「あと施工アンカー」または「埋込アンカー」の選定。 

B. 防振装置と耐震ストッパーの併用 

発電機は運転時の振動を建物に伝えないよう「防振バネ」の上に乗っていますが、これは地震時には「揺れを増幅させる原因」になります。 

  • 解決策: 一定以上の揺れを物理的に拘束する「耐震ストッパー」を設置し、地震時の過大な変位を抑制します。 

C. 配管のフレキシブル化 

建物と設備、あるいは設備同士を繋ぐ燃料配管・冷却水配管には、必ず「フレキシブルジョイント」を挿入します。 

  • 効果: 地震で設備が数センチ動いたとしても、配管が「しなる」ことで破断を防ぎ、燃料供給を維持します。 

 

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今すぐ実施すべき「設備足元」のチェック項目 

  1. アンカーボルト周辺のひび割れ: ボルト周辺のコンクリートに放射状のひびがあれば、過去の地震や振動で強度が低下しているサインです。 
  2. 配管の余裕(あそび): 燃料管や配線管がピンと張った状態で接続されていないか。地震の揺れを吸収する「ゆとり」があるかを確認します。 
  3. タンクの固定バンドの腐食: 屋外設置の燃料タンクを固定している金属バンドが錆びていると、地震の衝撃で容易に破断します。 

 

基盤こそがBCPの「真実」を決定する 

BCPの策定において「72時間のバックアップ電源確保」と記すのは容易ですが、その根拠となるのは、発電機本体のスペックではなく、それを支えるアンカーボルト一本、コンクリート基礎一枚の耐震性です。 

「動くはず」が「動かない」という悲劇を防ぐこと。 設備の基盤構造を科学的に診断し、必要な補強を施すことは、災害時に事業を、従業員を、そして社会を守るための「最も費用対効果の高い投資」です。 

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