巨大地震において、建物が倒壊を免れたとしても、内部の「電気」や「通信」が途絶えてしまえば、現代のビジネスは即座にストップします。特に盲点となりやすいのが、建物の構造体と設備を繋ぐ**「配線・配管の破断」**です。
建物が揺れる際、構造体は数センチから数十センチの幅で変形します。これに対して配線や配管が「カチカチ」に固定されていると、揺れに追従できず、引きちぎられたり、接続部が損壊したりします。本記事では、インフラの命綱を守るための最新の支持技術と、耐震診断におけるチェックポイントを解説します。
なぜ「固定」しすぎると危険なのか?
通常、配線や配管は落下防止のために建物の梁や床に強固に固定されます。しかし、地震時にはこれが仇となることがあります。
1. 異種構造体間の「相対変位」
例えば、本館と別館を繋ぐ「渡り廊下」や、免震層を跨ぐ配線など、異なる揺れ方をする構造体同士を跨ぐポイントでは、巨大な引っ張り・圧縮の力がかかります。
2. 天井の揺れによる「設備への波及」
吊り天井が大きく揺れる際、天井裏の配線ラック(ケーブルトレイ)が一緒に揺さぶられ、壁を貫通している箇所でケーブルがせん断(切断)される事故が多発しています。
揺れを「いなす」ための3つの支持技術
インフラを破断から守る鍵は、強固な固定ではなく「柔軟な遊び(ゆとり)」にあります。
- フレキシブル・ジョイントと伸縮継手: 配管の途中にジャバラ状の継手を設けます。これにより、建物がスライドしても継手が伸び縮みして力を逃がし、管の破断を防ぎます。特に免震建物では、数メートル単位の移動に対応できる「超ロング伸縮継手」が必須です。
- ケーブルの「余長(たるみ)」確保: 接続部や貫通部の前後で、ケーブルをあえて「S字」や「U字」に弛ませて固定します。地震時に建物が引っ張られても、この「たるみ」が解消されることで断線を回避します。
- 防振・耐震支持金物(揺動許容型): 配管を吊り下げる金物に、一定の揺れを許容する「振り子」のような構造や、スプリングを組み込みます。ガチガチに固めず、建物と一緒に「受け流す」ことで、支持部への集中荷重を分散させます。
耐震診断における「設備インフラ」の評価ポイント
建物本体のIs値が良好でも、設備が脆弱であればBCP(事業継続計画)は破綻します。診断時は以下の実務的なポイントを点検します。
A. 設備機器の「アンカー固定」と「防振材」の両立
サーバーラックや配電盤が地震で転倒しないようアンカーで固定するのは基本ですが、床との間に防振ゴムがある場合、ゴムの変形量以上に配線が引っ張られないか、その「マージン」を計算します。
B. 壁・床の「貫通部」の処理
ケーブルがコンクリートの壁を通り抜ける箇所(スリーブ)に、隙間なくモルタルが充填されすぎていないかを確認します。最新の設計では、隙間に柔軟な耐火シール材を用いることで、ケーブルの自由度を確保します。
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実務担当者が実施すべき「断線・破断防止」点検
- エキスパンション・ジョイント部の確認: 建物の繋ぎ目を跨いでいる配線に、十分な「たるみ」や「フレキシブル管」が使われているか。
- ケーブルラックの振れ止め: ラック自体が大きく揺れて周囲の配管にぶつからないよう、V字型の振れ止めワイヤーなどが適切に設置されているか。
- 重量物の直上確認: ケーブルトレイの真上に、地震で落下しそうな空調機やダクトがないか。外部からの物理的な衝撃による断線も大きなリスクです。
インフラは「柔軟さ」が強さになる
建物が「骨」なら、配線・配管は「血管と神経」です。骨が折れなくても、血管が切れれば組織は死に絶えます。
「動くことを前提とした設計」こそが、災害時の復旧力を決定づけます。 診断を通じて設備支持の弱点を見つけ出し、適切な柔軟性を持たせることで、地震の揺れが収まったその瞬間に、いつも通り電気が点き、通信がつながる環境を維持してください。
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