遠く離れた海溝型地震によって引き起こされる**「長周期地震動」**。高層ビルがまるでメトロノームのように、ゆっくりと、しかし大きく数分間にわたって揺れ続けるこの現象は、建物本体の倒壊リスク以上に、内部のパニックや設備破壊、さらには構造体の金属疲労を招きます。
この「共振」という物理現象を、物理で制する切り札が**「同調質量ダンパー(TMD: Tuned Mass Damper)」**です。
なぜ高層ビルは「長周期」でいつまでも揺れるのか
すべての建物には、揺れやすい固有のリズム(固有周期)があります。
- 共振のメカニズム: 高層ビルの固有周期(数秒)と、地震波の長い周期が一致すると、エネルギーが蓄積され続け、揺れがどんどん増幅されます。
- 減衰の不足: 鉄骨造の高層ビルは「しなやか」であるがゆえに、一度揺れ始めるとエネルギーを逃がす場所がなく、震源から遠く離れていても、いつまでも揺れが止まりません。
TMD(同調質量ダンパー)の驚異的なメカニズム
TMDは、建物の屋上付近に設置される**「重り(マス)」と「ばね・ダンパー」**で構成された装置です。
1. 「揺れを揺れで打ち消す」逆位相の原理
建物が右に揺れようとするとき、TMDの重りがその慣性によって左へ動きます。
- 物理的効果: 重りが建物とは**逆のタイミング(逆位相)**で動くことで、建物の揺れエネルギーを重りが「横取り」し、建物全体の振幅を劇的に抑え込みます。
2. ピンポイントな「同調」
TMDの最大の武器は、その名の通り「同調(チューニング)」です。
- カスタマイズ: 建物の実測データに基づき、その建物が最も揺れやすい周期に重りの動きを合わせます。これにより、長周期地震動による共振を狙い撃ちで抑制できます。
既存建築物への「後付け」が可能な理由
かつて、このような制振装置は新築時の設計が不可欠でしたが、現在は既存ビルへの追加導入(レトロフィット)が進んでいます。
- 省スペース設計: 屋上のヘリポート下や、機械室のわずかな余剰スペースに設置できるコンパクトなタイプが登場しています。
- 工事中の事業継続: 主要な柱や梁を大がかりにいじる必要がないため、テナントが入居したまま(居ながら改修)で、最上階の工事のみで建物全体の耐震・制振性能をアップデートできます。
貴社の高層オフィスで、「地震のたびに船酔いのような揺れが長く続き、社員の不安や精密機器の誤作動が起きている」という課題はありませんか? 建物の固有周期を計測し、長周期地震動による振幅を最大50%以上カットする**「TMD制振・後付けシミュレーション」を知りたい方は、無料で3分で完了する「耐震ウェブ診断」をご利用**ください。
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実務担当者が「TMD導入」で検討すべき3つのステップ
- 「常時微動計測」による固有周期の特定: まずは建物を実際に計測し、どの周期の揺れに最も弱いかをデータ化します。
- 「重りの重量」と「床荷重」のバランス: 屋上に数トン〜数十トンの重りを置くため、既存の床構造がその重量に耐えられるか、あるいは補強が必要かを精査します。
- 「メンテナンス・フリー」の確認: 最新のTMDは磁石(渦電流ダンパー)などを用いた非接触タイプもあり、長期間にわたって安定した性能を発揮します。
安全は「点」ではなく「線」で管理するもの
長周期地震動への対策は、一瞬の衝撃に耐えるという「点」の防災ではありません。数分間、あるいは数十分間続く揺れをいなし続ける「線」のマネジメントです。
「揺れに逆らうのではなく、揺れを預ける。」
物理的な原理に基づき、建物のリズムをコントロールすること。この「線」の視点でのリスク管理こそが、超高層化が進む都市部において、企業の資産を守るだけでなく、そこで働く人々に「揺れない安心」という無形の価値を提供するための、最も洗練されたアプローチとなります。
貴社は、この**「止まらない揺れ」を、高層ビルの宿命として諦め**ますか? それとも、TMDという物理的な盾によって、巨大地震でも静止し続ける強靭な拠点を、いつ、確立されますか?
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