地震発生時、建物の構造が無事であっても、利用者を恐怖に陥れるのが**「エレベーター内での閉じ込め」**です。特に高層ビルや病院において、エレベーターの停止は救護活動や事業継続(BCP)を完全に麻痺させます。
閉じ込めの主な原因は、カゴを支える**「ガイドレール」の歪みや脱落**です。地震後も安全にカゴを動かし、あるいは速やかに救出するためのシャフト内の耐震補強について解説します。
なぜ地震でエレベーターは「動かなくなる」のか
エレベーターのシャフト(昇降路)は縦に長い空間であるため、建物の揺れの影響をダイレクトに受けます。
- ガイドレールのしなりと座屈: 建物が大きく揺れると、シャフト内に固定されたガイドレールが蛇行するように曲がります。この「しなり」が限界を超えると、カゴをガイドするローラーが外れたり、レール自体が変形(座屈)してカゴが動けなくなります。
- 釣合おもり(カウンターウェイト)の脱落: 最も危険なのが、重い「おもり」が激しい揺れでレールから外れ、カゴに激突したり、ロープを損傷させたりするケースです。これが起きると復旧には数週間以上を要します。
閉じ込めを防ぐ「3つの耐震強化対策」
最新の耐震基準(2009年以降の改正基準)に基づき、既存のエレベーターにも適用可能な補強策が重要です。
1. ガイドレールの「支持スパン」の短縮とブラケット補強
レールを建物に固定する「ブラケット」の間隔を狭くしたり、強度を上げたりします。
- 効果: レールの剛性が高まり、建物の層間変形によるレールの「ゆがみ」を最小限に抑えます。
2. 釣合おもりの「脱落防止プレート」の設置
おもりがレールから外れないよう、強力なガードプレート(リテーナ)を追加します。
- 効果: 万が一おもりが激しく揺れてもレールを掴み続け、自由落下や衝突という最悪のシナリオを回避します。
3. 「地震時管制運転」システムのアップデート
P波(初期微動)を感知して、最寄り階に自動停止・ドア開放するシステムです。
- 高度化のポイント: 近年は、揺れが収まった後に低速で自動診断運転を行い、異常がなければ仮復旧させる**「自動復旧機能」**を備えたものもあり、判定士を待たずに閉じ込めを解消できます。
「閉じ込め」は建物の「揺れ方」を知ることで防げる
エレベーターの耐震性は、シャフトそのものの強度だけでなく、建物全体の「層間変形角」に依存します。
- 長周期地震動への対応: 高層ビルでは、ロープ自体が共振してシャフト内の機器に絡まる事故も多発しています。ロープの振れを抑制する「振れ止め装置」の設置が、現代の都市型防災では不可欠です。
貴社のビルのエレベーターは、「2009年の旧基準」のまま放置されていませんか? 震災後、数時間から数日間にわたる「エレベーター停止」が経営に与えるダメージを算出し、閉じ込めリスクをゼロに近づける**「EVシャフト耐震リニューアル診断」を知りたい方は、無料で3分で完了する「耐震ウェブ診断」をご利用**ください。
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ビル管理者が「保守点検時」に確認すべき3項目
- 「耐震改修済マーク」の有無: 保守会社が発行するシール等で、現行の耐震基準(2009年基準など)を満たしているか確認してください。
- 「地震感知器」の作動設定: 設定値が適切か(過敏すぎて止まりすぎないか、逆に鈍すぎないか)を再確認します。
- 「閉じ込め救出訓練」の実施状況: ハードの補強だけでなく、万が一止まった際の管理員による手動救出や通報フローが機能するかを訓練します。
安全は「点」ではなく「線」で管理するもの
エレベーターの耐震管理は、設置時という一時点の「点」の作業ではありません。建物の挙動特性に合わせたアップデートと、日々の保守という「線」のマネジメントです。
「動かないエレベーターは、高層ビルをただの塔に変えます。」
シャフト内のわずか数センチのレールの歪みを防ぐこと。この「線」の視点でのリスク管理こそが、巨大地震発生時においても、利用者の安全を確保し、垂直方向のインフラを死守するための、最も基本的かつ不可欠な防災戦略となります。
貴社は、「地震だから止まるのは仕方ない」と諦め、数時間の閉じ込めというリスクを放置しますか? それとも、ガイドレールの補強と最新の管制システムによって、震災時でも「止まらない、あるいはすぐ動く」拠点を、いつ、確実なものにされますか?
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