地震が発生した際、建物の構造体(柱や梁)が無事であっても、入り口の「庇(ひさし)」や「外壁パネル」が脱落し、避難経路を塞いだり歩行者に危害を加えたりする事故が後を絶ちません。これらは「非構造部材」と呼ばれ、構造体とは異なる独自の揺れ方をするため、接合部には想像以上の負荷がかかります。
人命に直結する「落下事故」を未然に防ぐために、施設管理者が実践すべきメンテナンスと補強のポイントを解説します。
なぜ「庇」と「パネル」は落ちるのか?
落下事故の多くは、地震の揺れそのものだけでなく、「経年劣化」と「揺れの増幅」が重なったときに発生します。
- 異種部材間の挙動差: 建物本体と庇は、揺れの周期が異なります。地震時、庇は建物に振り回されるような挙動(鞭を振るような動き)をし、接合部に激しい引き抜き力が加わります。
- 接合部の腐食(錆)の進行: 庇やパネルを固定するボルトや金物は、雨水が浸入しやすい場所にあります。外見からは分からなくても、内部で錆が進行し、断面欠損(細くなること)が起きていると、地震の衝撃で一瞬にして破断します。
- 層間変位への追従不足: 外壁パネルが建物の「しなり」についていけず、隣り合うパネル同士が衝突、あるいは固定金物がひずみに耐えきれず破断することで落下に至ります。
落下リスクを最小化するメンテナンス術
目視点検だけでなく、物理的な健全性を確認するプロセスが重要です。
1. 接合部ボルトの「トルク管理」と「非破壊検査」
庇を支える根元のボルトが緩んでいないか、トルクレンチを用いて確認します。また、赤外線サーモグラフィや超音波探傷検査を用いることで、タイルの浮きや内部金物の腐食状況を、壁を壊さずに特定することが可能です。
2. 脱落防止ワイヤー・ネットの設置(二次災害防止)
万が一、固定金物が破断しても、部材が地上まで落下しないように「命綱」をつける対策です。
- ステンレス製ワイヤー: 庇や大型パネルを建物本体と強靭なワイヤーで繋ぎ止めます。
- 繊維ネット: タイルや小規模な装飾パネルの剥落を防ぐため、透明度の高いネットで被覆します。
3. シーリング材の柔軟性維持
パネル間の目地(シーリング)は、地震時のクッションの役割を果たします。これが硬化・破断していると、パネルに直接力が加わります。10年を目安に打ち替えを行い、追従性を確保しておくことが、最大の防御となります。
「非構造部材」の耐震化に向けた優先順位
すべての箇所を一度に補強するのはコストがかかります。以下の優先順位で計画を立ててください。
- 優先度【高】: エントランス(庇)、非常階段の避難経路に面した外壁、人通りの多い歩道に面した看板・意匠パネル。
- 優先度【中】: 中庭や設備スペースなど、有事に従業員が立ち入る可能性のあるエリアの外装材。
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施設管理者が今すぐ行うべき「3分チェック」
- 庇の「傾き・ガタつき」: 庇の下から見上げて、左右で水平がズレていないか、指で押して異音(カチカチという金属音)がしないかを確認します。
- 錆汁(さびじる)の形跡: 接合部付近から茶褐色の液垂れ跡がある場合、内部の金物が深刻に腐食しているサインです。
- シーリングの「剥離」: 壁と庇、またはパネル同士の間のゴム状の部品が剥がれ、隙間ができていないかをチェックします。
安全は「点」ではなく「線」で管理するもの
庇や外壁パネルの安全性は、竣工時の設計という「点」だけでは守れません。日々の風雨による腐食や、繰り返す微小地震による疲労という「線」の時間軸の中で、いかに劣化を食い止め、強度を維持し続けるかが問われます。
「落ちてからでは遅い」のが非構造部材の怖さです。
接合部のわずかな予兆を見逃さず、適切な補強とメンテナンスを継続すること。その「線」の管理こそが、企業の安全配慮義務を全うし、震災時における尊い命を守るための、最も具体的で、最も欠かせない施設管理の責務です。
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