地震対策を検討する際、経営層が最も頭を悩ませるのは「投資対効果(ROI)」の不透明さです。耐震補強は「何も起きなかったら無駄になるコスト」と捉えられがちですが、それは大きな誤解です。
震災後のリスクは、建物の修繕費だけではありません。真に恐ろしいのは、生産ラインの停止や営業不能によって、競合他社にシェアを奪われ、二度と元の売上に戻れなくなる**「事業停止損失」**です。本記事では、耐震補強の価値を「守った利益」として可視化する指標、**LOPI(Loss of Profit Interruption)**の計算手法と、その戦略的活用法を解説します。
「修繕費」は氷山の一角にすぎない
地震被害の総額を考える際、多くの企業は「直接被害」しか計算に入れていません。
- 直接被害(ハード): 建物の崩壊、機械の破損、内装の剥落。
- 間接被害(ソフト): 生産停止期間中の固定費(人件費など)の流出、納品遅延による違約金、顧客の離反。
多くの場合、間接被害は直接被害の数倍から数十倍に膨れ上がります。耐震補強の目的は、この巨大な「水面下の損失」を最小化することにあります。
「攻めの耐震」へ:PML値と連動した財務戦略
LOPIの概念を導入すると、耐震補強は「コスト」から「不確実性に対するヘッジ(保険)」へと変わります。
- PML(予想最大損失率)の低減:
耐震補強によってPML値を下げることができれば、支払う地震保険料の減額交渉が可能になります。この「固定費削減分」もLOPIの一部としてカウントできます。
- サプライチェーンでの優位性:
「震災後も2週間で供給を再開できる」というエビデンス(LOPI計算書)を顧客に提示できれば、BtoB取引において競合他社に対する強力な選定理由(信頼資産)となります。
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実務担当者がLOPIを算出するための3ステップ
- ボトルネック工程の特定:
- 建物全体ではなく、その中で「止まると最も利益に響く設備・エリア」はどこか。その箇所の耐震性が最優先事項になります。
- 代替拠点のコスト評価:
- 被災時に他拠点で代替生産する場合の物流コスト増や外注費を算出します。これが高いほど、現拠点の耐震化のLOPI価値は高まります。
- シナリオ別シミュレーション:
- 「震度6弱ならどうか」「6強ならどうか」と、震度別の復旧曲線を引くことで、経営陣が許容できるリスクのライン(リスクアペタイト)を明確にします。
耐震補強は「将来のキャッシュフロー」を買う行為
地震による倒壊を防ぐのは「防災」ですが、事業停止期間を短縮するのは「経営」です。LOPIという物差しを持つことで、耐震補強は「いくら安く済ませるか」という議論から、「いくらの利益を守るために投資するか」という建設的な議論へと進化します。
見えないリスクを、語れる数字に変えること。 正確な定量化に基づいた意思決定こそが、大災害という荒波の中でも、貴社のブランドと利益を守り抜く唯一の手段です。
貴社は、この**「LOPI(利益損失回避)」という視点を持ち**、震災時にも揺るがない強固なキャッシュフローを、いつ、手に入れられますか?



