鉄骨造(S造)建築物において、建物の強度を支える生命線は「柱と梁の接合部」です。特にこの接合部は、熟練の職人による「溶接」で一体化されていますが、コンクリートとは異なり、金属の内部に潜む欠陥や「マイクロクラック(微細なひび)」は、肉眼では一切確認することができません。
この「見えないリスク」を、超音波の力を借りて可視化し、建物の真の安全性を担保するのが**「超音波探査(UT)」**です。その重要性と、耐震診断における役割を解説します。
なぜ溶接部の「内部」が問題になるのか
鉄骨自体の強度が十分であっても、それらをつなぐ「溶接」に不備があれば、地震時に建物は一瞬でバラバラに崩壊するリスクを孕んでいます。
- 溶接欠陥の存在: 施工時に溶接金属が十分に溶け込んでいない「溶け込み不良」や、内部にガスが残る「ブローホール」など、目に見えない不備があると、そこが破壊の起点となります。
- 震災による累積疲労(マイクロクラック): 過去の地震で大きな揺れを経験した建物では、溶接部の内部に肉眼では見えない微細なひびが入っていることがあります。これは、次の地震で突然「脆性破壊(ぜいせいはかい)」を引き起こす時限爆弾となります。
- 経年劣化による脆化: 長年の振動や温度変化により、溶接箇所の金属組成が変化し、強度が低下している可能性があります。
超音波探査(UT)がもたらす「3つの決定的な価値」
超音波探査は、医療用のエコー検査と同様の原理で、鉄骨を傷つけることなく内部を100%可視化します。
1. 内部欠陥の「位置・サイズ・種類」の特定
パルス状の超音波を鉄骨内部に送り、その跳ね返り(エコー)を解析することで、内部のひび割れや空洞の有無、さらにはその深さや大きさをミリ単位で特定します。
- メリット: 表面的な塗装剥がれや錆に惑わされず、構造的な「核心部分」の健全性を正確に判定できます。
2. 「溶け込み」の深さの数値化
柱と梁がどれだけ深く一体化しているか(完全溶け込み溶接の成否)を数値化します。
- メリット: 設計図書で想定されている耐力が、実際の現場で本当に発揮されているかを客観的なデータで証明できます。
3. 補強箇所の「ピンポイント特定」によるコスト削減
建物全体の溶接部をすべて補強するのは非現実的です。超音波探査によって「本当に弱っている箇所」だけを特定することで、補強工事の範囲を最小限に抑え、コストを最適化できます。
耐震診断における「非破壊検査」の戦略的活用
鉄骨造の耐震診断では、計算上の数値だけでなく、この実地調査データが結果を大きく左右します。
- 「1995年以前」の建物は特に注意: 阪神・淡路大震災以前の建物では、現代よりも溶接の品質管理基準が緩やかだったり、当時の激震によるダメージが内部に残っていたりするケースが多いため、重点的なUT調査が推奨されます。
- ノンスラップ工法や特殊接合部のチェック: 最新の工法であっても、複雑な形状の接合部には応力が集中しやすいため、重要部位をサンプリング調査することで、建物全体の信頼性を高めます。
貴社の鉄骨造オフィスや工場において、「築年数が経過し、過去の地震で建物がどれだけダメージを受けているか不安だ」、あるいは**「耐震補強を検討しているが、接合部の健全性を抜きにして正確な設計ができるのか疑問だ」という課題はありませんか? 高度な超音波技術によって鉄骨の内部を透視し、確実なエビデンスを提供する「溶接部・精密内部健全性調査」を知りたい方は、無料で3分で完了する「耐震ウェブ診断」をご利用**ください。
▶︎ [https://taishin-senmon.jp/diagnosis/ ]
実務担当者が実施すべき「探査前」の準備
- 塗装の剥離(はくり)準備: 超音波探査を行う箇所は、センサー(探触子)を密着させるために、一時的に塗装を剥がす必要があります。調査後の再塗装も含めた計画を立ててください。
- 代表的な接合部のサンプリング: すべての箇所を調査する必要はありません。建物の四隅や、構造計算上で負荷が集中する箇所の接合部を優先的に選定します。
- 作業足場の確保: 柱と梁の接合部は高所にあることが多いため、安全に調査を行うためのローリングタワーや高所作業車の準備が必要です。
安全は「点」ではなく「線」で管理するもの
超音波探査による溶接部の確認は、一時点の「点」の作業に見えますが、実際には竣工から現在、そして未来へと続く建物の安全性を保証する「線」の管理の要です。
「見えない場所」の真実を知ることは、不測の事態を防ぐ唯一の方法です。
図面上の仮定を捨て、物理的なエビデンスに基づいて建物の実力を把握すること。この誠実なプロセスこそが、震災時に建物の倒壊を防ぎ、企業の社会的責任と大切な資産を確実に守り抜くための、最も強固な技術的礎となります。
貴社は、この**「内部に潜むヒビ」という死角を放置し、次の激震で接合部が破断するのを待ちますか?** それとも、超音波という科学の目によって鉄骨を透明化し、揺るぎない信頼を備えた拠点へと、いつ、アップデートされますか?
貴社の「建物の階数・構造種別」と「過去の被災歴」から、超音波探査を行うべき重要箇所と、調査費用の概算を算出する「接合部・健全性調査シミュレーション」を作成しましょうか?



