地震が起きた際、建物が無事であっても、内部のサーバー、医療機器、半導体製造装置などの「精密機器」が全滅してしまうケースがあります。これは、建物全体の「強さ」とは別に、揺れの**「周期(揺れのスピード)」**が機器固有の弱点と一致してしまうために起こる現象です。
精密機器のBCP(事業継続計画)を立てる上で、今最も重要視されているのが、この「周期依存型ダメージ」の予測と数値化です。本記事では、加速度(強さ)だけでは測れない、精密機器特有のリスク評価手法を解説します。
「加速度(gal)」だけでは不十分な理由
一般的に地震の強さは「加速度($gal$)」で語られますが、精密機器の故障予測には不向きです。
- 加速度が高いが短周期(ガタガタという揺れ):
人間は驚きますが、機器の内部部品が大きく共振する前に揺れが切り替わるため、意外にも損傷は少ない傾向にあります。
- 加速度は低いが長周期(ゆっさゆっさと大きな揺れ):
建物の高層階などで増幅された「ゆっくりした大きな揺れ」は、精密機器の内部構造(ハードディスクのヘッド、光学レンズの支持部など)と**「共振」**し、加速度の数値以上に壊滅的なダメージを与えます。
数値化の鍵:床応答スペクトル(FRS)の活用
精密機器への影響を正確に予測するためには、地面の揺れではなく、機器が設置されている**「床面の揺れ」**を数値化する必要があります。
1. 床応答スペクトル(Floor Response Spectrum)の算定
建物の構造解析モデルを用いて、特定の地震波が入力された際に、各階の床が「どの周期で、どの程度の強さで揺れるか」をグラフ化します。
2. 機器の限界値(耐震グレード)との照合
機器メーカーが提示する「許容加速度」や、機器の「固有周期」をFRSにプロットします。
- リスクの可視化: グラフ上で、床の揺れのピークと機器の弱点が重なっている箇所があれば、そこが「高リスク領域」となります。
「速度」と「変位」:機器の故障モードを特定する
精密機器のダメージは、周期によって以下の3つのモードに分類して予測します。
- 加速度依存(短周期): 内部基板のハンダ亀裂、接点不良、部品の脱落など。
- 速度依存(中周期): モーターの回転軸の歪み、液体の波打ち(スロッシング)による溢れ。
- 変位依存(長周期): 配線ケーブルの引きちぎれ、免震台からの転落、装置同士の衝突。
特に、データセンターや半導体工場では、この**「速度($kine$)」**の管理が、システム復旧の可否を分ける境界線となります。
貴社の施設において、「建物は耐震補強済みだが、中のサーバーや製造装置が次の地震で動かなくなるリスクがどれくらいあるか」を数値化できていますか? 床面の揺れ特性を精密解析し、重要機器の損壊確率を算出する**「設備・機器・床応答リスク判定」を知りたい方は、無料で3分で完了する「耐震ウェブ診断」をご利用**ください。
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実務担当者が実施すべき「周期対策」のステップ
- 重要機器の「固有周期」の把握:
- メーカーに「水平・垂直方向の固有振動数」を問い合わせます。不明な場合は、常時微動計測による実測も可能です。
- 階数に応じた配置の見直し:
- 長周期の揺れが増幅しやすい高層階には、長周期に弱い機器(可動部が多い装置など)を置かないよう、レイアウトを最適化します。
- 「減衰」の導入:
- 機器を床にガチガチに固定するのではなく、特定の周期の揺れを吸収する「防振・免震マウント」を採用します。ただし、マウントの特性が床の周期と合っていないと、逆に揺れが増幅されるため注意が必要です。
見えない「揺れのリズム」を制御する
精密機器を守るための耐震は、建物を強くする「力」の対策から、揺れのリズムを合わせない「波」の対策へと進化しています。
加速度(gal)という単一の指標から脱却し、周期(秒)という時間軸でリスクを捉えること。 これが、震災後も「システムが止まらない」真のレジリエンスを実現するための、最も高度で効果的なアプローチです。
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