鉄筋コンクリート(RC)造の建物において、外壁のコンクリートが剥がれ落ち、中の鉄筋がむき出しになっている状態を「爆裂(ばくれつ)」と呼びます。これは単なる見た目の劣化ではありません。建物の骨組みである鉄筋が急速に細くなり、地震に耐えるための「粘り」が失われている危険信号です。
なぜ強固なはずのコンクリートが内部から破壊されるのか、そのメカニズムと、耐震性能を取り戻すための正しい補修法を解説します。
コンクリートを内部から破壊する「爆裂」のメカニズム
本来、コンクリート内部は強いアルカリ性に保たれており、中の鉄筋は「不動態被膜」という膜に守られて錆びることがありません。しかし、以下のプロセスでそのバランスが崩れると爆裂が始まります。
- 中性化の進行: 空気中の二酸化炭素がコンクリート内部に浸透し、アルカリ性を失わせる「中性化」が起こります。これが鉄筋の位置まで達すると、守られていた鉄筋が酸化(腐食)し始めます。
- 錆による体積膨張: 鉄筋が錆びると、元の太さの約2.5倍にまで体積が膨張します。
- 内部からの圧力と剥離: 膨張した鉄筋が、内側からコンクリートを押し出します。この圧力に耐えきれなくなったコンクリートにひび割れが入り、最終的にボロボロと剥落します。
爆裂が耐震性能に与える「深刻な影響」
爆裂を放置することは、人間で言えば「骨がもろくなっている」状態を放置するのと同じです。
1. 鉄筋の断面欠損(耐力の低下)
錆びてボロボロになった鉄筋は、本来の断面積を失っています。地震時に柱や梁にかかる強烈な引張力に耐えられず、想定よりもはるかに低い衝撃で破断するリスクが高まります。
2. 付着性能の喪失
コンクリートと鉄筋が一体となって動くことでRC造は強度を発揮します。爆裂によって両者の間に隙間ができると「付着(つかむ力)」が失われ、地震の揺れを構造全体で受け止めることができなくなります。
3. 腐食の連鎖
一度爆裂が起きると、そこから雨水や酸素が直接内部に侵入し、まだ無事だった周囲の鉄筋まで一気に腐食を広げる「負の連鎖」が加速します。
耐震性能を再生させる「3段階の補修ステップ」
表面を塗料で隠すだけでは補修になりません。構造的な信頼性を取り戻すには、以下の工程が必要です。
- ステップ1:脆弱部の除去とケレン作業 錆びた鉄筋の周囲にある浮いたコンクリートを完全に取り除き、鉄筋に付着した錆をワイヤーブラシ等で徹底的に落とします(ケレン)。
- ステップ2:防錆処理(犠牲防食) 鉄筋に強力な防錆剤を塗布します。また、必要に応じて「亜鉛犠牲陽極材」を設置し、電気化学的に鉄筋の腐食を止める工法も有効です。
- ステップ3:断面修復(高強度モルタル) 元の形に戻すために、接着性が高く、中性化しにくい高強度のポリマーセメントモルタルを充填します。これにより、鉄筋を再び強アルカリ性の環境で密閉します。
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施設管理者がチェックすべき「爆裂の予兆」
- エフロレッセンス(白華現象): 壁面に白い粉のようなものが浮き出ている場合、内部に水が浸入し、成分が溶け出している証拠です。
- 錆汁(さびじる)の染み出し: ひび割れから茶色い液が垂れた跡がある場合、内部で鉄筋の腐食が既に始まっています。
- 打診音の変化: 外壁を叩いたときに「ポコポコ」と軽い音がする箇所は、内部でコンクリートが浮き上がっており、爆裂寸前の状態です。
安全は「点」ではなく「線」で管理するもの
コンクリートの爆裂は、ある日突然起きる「点」の現象ではありません。数十年という「線」の時間軸の中で、中性化がじわじわと進行し、限界を超えた瞬間に目に見える形で現れます。
「たかが表面の剥がれ」と見逃すことは、耐震性能の根幹を捨てることと同じです。
早期に発見し、適切な断面修復を行うことで、建物の寿命は劇的に延び、巨大地震への備えも維持されます。この継続的な「線」のメンテナンスこそが、資産価値を守り、有事の際に従業員の命を守るための、最も基本的かつ重要な施設管理のミッションです。
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