🌋 直下型と海溝型、揺れ方の違いが建物に与える影響:貴社の立地に基づいた「衝撃力」への備え

日本に住む以上、避けては通れない地震のリスク。しかし、一口に「大地震」と言っても、発生のメカニズムによって建物に襲いかかるエネルギーの質は全く異なります。都市の真下で牙を剥く「直下型地震」と、海の底から巨大なエネルギーを送り込む「海溝型地震」。 

貴社のオフィスや工場が置かれている立地、そして建物の高さや構造によって、どちらの地震が「致命傷」になるかは変わります。本記事では、これら二つの地震が建物に与える衝撃の違いを解き明かし、立地特性に応じた戦略的な耐震対策の考え方を解説します。 

 

直下型地震:建物をつき動かす「凶暴な衝撃力」 

直下型地震(陸域の浅い場所で起こる地震)の最大の特徴は、震源が極めて近いことによる「突き上げるような縦揺れ」と「猛烈な一撃」です。阪神・淡路大震災や熊本地震がこのタイプに該当します。 

1. キラーパルス(殺人脈波)の脅威 

直下型地震では、周期1秒から2秒程度の「キラーパルス」と呼ばれる揺れが発生しやすくなります。これが、日本の多くの中低層ビルや住宅の固有周期と一致しやすく、一瞬のうちに建物をなぎ倒すような衝撃を与えます。 

2. 縦揺れによる「柱」の破断 

震源が真下にあるため、強烈な上下動が発生します。重たい建物を支えている柱に対して、瞬間的に設計荷重をはるかに超える圧縮力と、その直後の引き抜き力がかかります。これにより、柱の根元や接合部が「爆裂」するように破壊されるのが直下型の恐ろしさです。 

 

海溝型地震:巨大なマントが建物を「揺さぶり続ける」 

南海トラフ地震に代表される海溝型地震は、震源が遠く、非常に広い範囲にわたって長時間揺れが続くのが特徴です。 

1. 長周期地震動と共振 

震源から離れるほど、ガタガタという短い揺れは減衰し、ゆさゆさと大きく揺れる「長周期地震動」が生き残ります。これが、高層ビルや免震建築物、巨大な石油タンクなどの「揺れやすい周期」と共振すると、建物の上層階では数メートルにも及ぶ巨大な振れ幅となり、長時間にわたって構造体を痛めつけます。 

2. 繰り返しの揺れによる「疲労破壊」 

直下型が「一撃」なら、海溝型は「執拗な連打」です。数分間にわたって繰り返される大きな変形は、建物の接合部や耐力壁に蓄積疲労を与え、地震の後半になってから突然崩壊を招くリスクがあります。 

 

立地と地盤で決まる「貴社専用」のリスクシナリオ 

地震のタイプに加え、貴社の拠点がどのような地盤の上に立っているかがリスクを増幅させます。 

  • 硬い岩盤上の立地: 直下型の鋭い揺れがダイレクトに伝わりやすいため、接合部の破断や設備機器の転倒対策が最優先となります。 
  • 柔らかい堆積地盤(埋立地・平野部): 遠くの海溝型地震による長周期地震動が増幅されやすく、高層ビルや大規模工場の「共振」対策が不可欠です。 

 

揺れ方の違いに応じた「守り方」の最適解 

どちらの地震に対しても「ただ壁を厚くする」だけでは不十分です。 

直下型への備え:接合部の「粘り」と「強度」 

一瞬の衝撃に耐えるため、柱と梁の接合部を鋼材で補強したり、カーボンファイバーを巻き付けたりして「脆性破壊(ぜいせいはかい)」を防ぎます。 

  • 重点項目: ピロティ階の補強、特定天井の脱落防止、重量設備のアンカーボルト強化。 

海溝型への備え:「制震」によるエネルギー吸収 

長時間の揺れを抑えるため、建物の内部にオイルダンパーや鋼材ダンパーを設置し、地震エネルギーを熱に換えて逃がします。 

  • 重点項目: 高層ビルの制震改修、長周期地震動を考慮した免震装置のストローク確認、非構造部材(間仕切り壁等)の損傷防止。 

 

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地震タイプ別・設備マネジメントのヒント 

建物本体だけでなく、中身(資産)を守るアプローチも変える必要があります。 

  1. 直下型対策:加速度を抑える 衝撃が強いため、精密機器やサーバーラックには「防振・免震マウント」を積極的に採用し、機器にかかる瞬間的な加速度を低減させます。 
  2. 海溝型対策:変位を抑える 大きく、長く揺れるため、配管や配線の「遊び(フレキシブル性)」を十分に確保します。建物が大きくしなっても、ライフラインが引きちぎられない設計が重要です。 

 

敵を知り、己(立地)を知れば、百戦危うからず 

地震は自然現象ですが、建物が受ける被害は「物理現象」です。貴社の立地において、どのような波形の地震が来る可能性が高いのかを知ることは、限られた防災予算をどこに集中投下すべきかを決める「経営判断」そのものです。 

直下型の「一撃」を耐え抜き、海溝型の「連打」をいなす。 この二段構えの戦略こそが、被災後の迅速な事業復旧を実現し、社員と資産を守り抜く唯一の道となります。 

貴社は、この**「揺れ方の違い」踏まえた**、真に合理的な耐震化を、いつ、スタートされますか?