建物の構造によって耐震性に違いがあるのか?

建物の構造には、一般的に「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」などがあります。

鉄骨などのイメージから「木造よりも鉄骨の方が地震に強い」という印象を受ける人も少なくないようです。ただ、現在の建築基準法では、どんな構造の建物でも大規模地震に耐えられるように耐震性の基準が定められています。そのため、たとえ構造が違っても耐震性に違いが出ることはありません。

しかし、それぞれの構造には特徴があり、地震が発生した時の被害状況などには大きな違いが出ることもあります。そこで「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」の違いについてまとめてみました。

火災発生時や1階が駐車場になっている建物などは要注意。

まず「木造」は、建物を支える筋交いや、各所に配置された耐力壁などにより、地震に耐えるように作られています。同じ大きさの建物で比較した場合、鉄骨などと比べて軽くしなやかな材質のため、揺れが小さくなるのがメリットです。

「鉄骨造」の建物では、骨組に鉄製や鋼製の部材が使われており、鉄や鋼の粘りによって地震に耐える構造になっています。鉄骨は、地震で大きな力が加わった時、変形して地震のエネルギーを吸収してくれます。これによって地震による倒壊を防いでくれるわけです。ただ、重量があるため、揺れは大きくなりがちです。また、高温になると鉄の強度が大きく低下してしまうのもデメリット。大規模な火災が発生した時には、倒壊する危険性もあります。

「鉄筋コンクリート造」の建物は、コンクリートの中に鉄骨を入れて造られたものになります。コンクリートは圧縮力に強く、鉄筋は引張り力に強い。この2つの長所を掛け合わせた建物になります。鉄骨造の建物と同じように、重量があることから揺れは大きくなりがちですが、地震に強い建物だと言えます。ただ、1階部分を駐車場にしている建物など、壁の配置に偏りがあるものについては、たとえ耐震基準を満たしているとしても損壊する恐れがありますので注意が必要です。